最近乱立している個別指導塾に思うこと。

はい、こんにちは。最近、マインドマップにハマっているトモPです。
今日は最近、乱立している個別指導塾について思うことです。

ちょっと待て!その前に中の人はどんな人なの?

勉強嫌い。明治中退後、大学に行こうと思って今は横国に通っていますが通っていないアラサーです。趣味は囲碁打ったり本読んだり分野問わず興味を持った事をネットで研究したりする事です。大学時代を通して集団・個別の塾講師をやって生活を立ててきました。(中退以降、親からの援助はほとんど受けていませんよ!あ、いや借りることはあるけど…)
指導科目は理系科目+国語+英語。社会はセンターで使った政経しか分かりません。あと地理の知識があれば投資とかに便利かなぁって思ってます。受験業界についての知識・経験は仕事がら持っています。が、最近塾講師はプチ引退しました。将来的にやることがあるかもしれませんけどね。現在はITで必死こいています。

塾・予備校ってどんな所?

会社によって異なりますが、基本的には「補習」を目的にしているはずです。
例えば「行きたい学校がある」けど「学校の勉強だけじゃ不足」という事なら塾に通うという選択肢を取ります。また親が「学校の勉強だけじゃ不安」という場合にも塾に通わせるという選択肢を取ります。小中までは後者のパターンが多く、学生さんが自ら「行きたい」と言うのは高校生からでしょうね。伝統があるところだと、「教育方針」みたいなものを掲げていたりしますのでチェックしてみると面白いかもしれません。

集団塾と個別指導塾のメリット

集団塾と個別指導塾がどういう形式か、は読んで字のごとくなので説明しません。
以下一般的に言われている事として

集団塾のメリット
・周りに合わせて勉強できるのでペースメイカーとして活用できる。
・ストックされている豊富な受験知識を活用できる。

個別指導塾のメリット
・自分のペースで勉強できる。
・分からない所があってもすぐに先生に質問できる。

と言った所でしょうか。

どちらのメリットを活用するかは生徒さん次第と言っていいでしょう。個別指導は学校の補習を目的にした、偏差値50を切ってしまうような学生さんをターゲットにしているかのように思われていますが、偏差値60以上の生徒さんでも活用します。そういった層をターゲットにしている代表格がTという個別進学指導塾です。ただしお高いです。

集団塾と個別指導塾の違い

下図を見てください。6年ほどこの業界で教務をこなした自分の実感です。

集団授業が対象とする層は目的ありきの「補習」なので「基本的な勉強ができる人」です。従って偏差値45…才能次第で40以上の生徒を対象にしていると言えるでしょう。(最初は偏差値40くらいでも努力次第で65〜70くらいまで伸びる事があります。ソースは俺。)

対して個別指導塾が対象としている層は「基本的な勉強すらできない人」があります。つまり集団授業についていけない層です。信じられない人は信じられないかもしれませんが、どんなに教えても「理解できない」は存在します。そういう生徒は「めちゃくちゃ勉強できる」か「全く勉強できないか」のどちらかのような気がします。前者と後者で「理解できない」は性質が全く違うのは言うまでも無いかもしれませんね。集団授業で後者のタイプは必ず存在します。その度に「この子は個別指導の方が絶対に良いんだけどなぁ」と思います。そもそも選択の余地は無いような…

60以上は先ほども申し上げました通り、戦略的に個別指導を活用している層で、ここらへんは大抵親御さんが教育熱心ですね。だって集団授業に十分ついていけるのに、敢えて料金が高い個別指導を選ぶのですから。相場にして5倍は違うのではないでしょうか。

では中間層である50〜60程度の層に個別指導は必要ないかというとそういう事はなく、中高一貫校に通ってる子が補習目的に使う事があります。
中高一貫校でついていけず、50以下に転落するケースはありますし、逆も然りですが、それは必然的に上下どちらかの層に分類されるかと思います。

塾業界の実態、優秀な先生の確保は難しい。

これは高学歴と言われる大学に通ってるような学生さんほど感じるようですが、塾の仕事に入ってみて「思ったより周囲のレベルが低いのが信じられない」というのがあります。
念頭に「塾の先生なんだからできて当然だろう。」というのがあるのだと思いますが、ここにフォーカスを当ててみます。

今だから書ける事ですが、自分も塾講師として入った当初は学生先生のレベルの低さに拍子抜けしました。

(メチャクチャ勉強して駿台市ヶ谷で言えばSB相当の学力(旧帝・慶応・早稲田、駅弁医学部に受かるかも。たまに最難関校)にまでこぎつけられたのですが、SA(東大・慶応医・旧帝医学部に普通に5割以上が受かる層)に対して劣等感があったのは否定しません。でも、今思えば彼らはTOPの中高でもまれ、運悪く受験に失敗してしまった層でもあるので、そもそも努力と才能の桁が違うのでしょうね。)

ところが受験業界というのは「MARCH・日東駒専」の層がメジャーで、たしかに一般的には「立派な大学」に通っているのですが、その実、受験のエキスパートと言えるほど勉強はできなかったりします。(ただし例外はあり、普通の大学に行ってても人に教えられるぐらい勉強が出来る人もいます。)

裏を返せば、「生徒を教えるのにそれほどの学力は必要ない」という事になります。上位校を狙うのに必要な論理的な思考や連想は人から教えられるものではなく、自分で努力して身につけるものですからね。基本を教えるだけだったらそれほど大変ではないという事があり、ただし「どんな質問にも答えられるほど賢くはない」という事があるのだと思います。レベルの低い生徒ならそれで十分でしょう。

そもそもね、必要なのは「教え方のわかりやすさ」であり、先生自身の学力は二の次です。(強調)

ただ、生徒がTOP校を狙う場合はどうしても「わかりやすさ」と「学力」が揃った「受験のエキスパート」が必要になります。ところがそうした人は確保が難しいのです。学生は先ほども申し上げました通りで「意外にレベルが低い」、あるいは「分かりづらい」のどちらかです。優秀なプロには専属契約をしている会社が間違いなくあります。
大手塾で学生講師を募集しているような塾は常にこの問題と向き合っているはずで、年度によって講師の質に偏りが見られますのはこの為です。

個別指導塾に見る講師の質。

個別指導は良く「優秀な先生が1対1で教えますよ」って事をキャッチコピーにするのですが、個別指導の講師に優秀さを期待するのは辞めた方がいいと言っておきます。理由は簡明です。

というわけで集団授業は講師から見て魅力的な提案もありますし、派遣会社もこぞって紹介をしたがります。個別指導塾には「集団授業に入れない人」が入ることになり、講師の質は必然的に落ちてしまいます。

でも、それで十分なのです。個別指導の場合、教え方が分かりづらければ「何度も説明し直す」という保険利きます。「集団」に向けた練習として個別指導を最初にやる事もあります。だからそれでいいということです。

個別指導塾のビジネスモデル。

多くの個別指導塾では講師のレベルを期待しません。そこらへんの「基本的な所は分かっている」程度の学生を捕まえて時給1000円ちょっとというコストで雇えばいいだけです。それで十分回るからです。

ただ、個別指導塾というのは保護者から見てコストが高いものです。論理としては「本来は集団授業でやる内容を1対1ないし1対2にするんだから凄く高いのは当然でしょ」という事ですが、これはとんでもない話で、そもそも講師に払っている給料が2倍違いますし、場所も取らないのでコストもかかっていません。ところが保護者が上記の論法の欠点に気づいていないので、納得して払ってしまう。

要するに巷で個別指導塾が増えているのは、保護者が余計に授業料を払っているので倒産リスクが少ないからだと思います。別に統計を取っているわけじゃありませんが、個別指導塾の乱立ぶりを見ても「良い商売」なんだなと思います。

しかしです。

個別指導塾は多くが「偏差値50以下のできない生徒」を対象にしており、それ以外は責任者や社員などで「勉強のできる人」が面倒を見て応急措置をしているようですが、昨今では「戦略的に」のケースが増えてきていて、「優秀な先生」の需要は高まってきており、当初の方針だけでは立ち行かなくなりつつあるはずです。
Tという個別指導塾が「進学実績を残せる個別指導塾」として躍進している事を踏まえると、戦略的に見ても「優秀な先生」を必要として戦略は必要で、そして優秀な先生の確保が難しいという事であれば、講師の数を必要とする個別指導塾はこれがボトルネックになって経営が伸び悩むことになるのではないでしょうか。

持論、戦略として個別指導塾を選ぶってどうなの?

ぶっちゃけた話ですが、白井は偏差値60以上の生徒が個別指導塾を選ぶ事に反対です。戦略としても反対です。それだけの理解力があるなら自分で勉強すべきだからです。補習が必要なら集団の勉強をきっちりやっていれば難関校に受かるレベルにはなります。ならないのは努力不足か、努力をする才能がないからです。ハッキリ言ってできる生徒の個別指導塾はムダです。個別指導塾は魔法じゃありません。勉強というのは努力をして何かをできるようにすることです。「進学実績を残せる個別指導塾」は金持ち商売だから成立するだけであって、金持ちが優秀な先生と1対1で教えて欲しかったら家庭教師かそういう教育機関を使えばいいって話です。要するに金持ちの自己満足です。そもそも教育は魔法じゃありませんよっと。筋トレと同じで自分で努力するものです。それが最大の前提です。以上、持論終わり!

教育が過渡期に入りつつある。

個別指導塾の乱立は、ITリソースの参照容易性と価値観の多様化を温床にした教育業界の過渡期の象徴と言えるのではないでしょうか。オンライン個別指導システムや黒板のデジタル化、プリント類のデータベース化などはITの恩恵といえますし、それだけユーザーの要求も多様化してきたからだと思います。
そんな中で教育業界に身を置いている人ないし受験生が、これから受験勉強を始めるにあたってどのようなリソースを使えるようになり、それがこの社会をどれだけ良くするものなのか、やがてその夢を描けるような人になれればいいなぁって、トモPは密かに思っていたんですが、書いちゃいました。

それでは長くなりましたが、読んでいただいてありがとうございました。
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